社員数50人規模の名刺発注はなぜ混乱するのか
社員が10名程度のうちは、名刺発注は比較的シンプルです。担当者が1人で管理し、デザインも1種類。誰が何枚必要かを把握しやすく、印刷業者とのやり取りもスムーズに進みます。
しかし、社員数が30人、50人と増えると途端に混乱が起こります。「誰がどのデータを持っているのか」「最新版がどれか」「いつ発注したのか」がわからなくなり、最終的には毎回“ゼロからやり直し”状態になるのです。
本記事では、法人規模が拡大する中で名刺発注が混乱する3つの典型的な原因を整理し、その対策を具体的に紹介します。
1. 名刺データが統一されていない
50人規模の企業では、名刺デザインが部署や時期によって異なるケースが多く見られます。営業部だけロゴが新しい、管理部だけ肩書が英語表記、という具合です。これは「フォーマット統一のルール」が存在しないことが原因です。
社内でデザイン統一がされていないと、名刺を発注するたびに過去データを探し直すことになります。結果、誤った旧データを使って印刷してしまうミスが起きやすくなります。特にロゴ変更や住所移転のタイミングでは、旧情報で印刷された名刺が大量に残ってしまうこともあります。
理想は「デザインマスター」を1つに定め、全社員がそれを基準に名刺を発注できる体制を作ることです。印刷会社に依頼する場合も、「デザイン統一」「データ一元管理」を提案してくれる業者を選びましょう。
2. 発注経路がバラバラで管理できない
中規模企業で最も多いトラブルが、「誰がいつどこに発注したのか分からない」状態です。部署ごとに異なる業者へ依頼しているケースや、前任者が個人アカウントで発注していたケースも少なくありません。
たとえば営業部はA社に、総務部はB社に、役員秘書はC社に…と発注先が分散すると、同じ会社の名刺でも紙質・色味・フォントが異なるという状態になります。これはブランド統一の観点からも大きなマイナスです。
この問題を解決するには、社内の発注フローを一本化することが重要です。印刷業者を1社に絞るだけでなく、「社内申請〜発注〜納品〜請求」の流れを明確にしておくことで、発注の重複や漏れを防げます。
法人向け印刷会社の中には、複数担当者が同じシステム上で発注・確認できる「共通ポータル」を提供しているところもあります。発注履歴が自動で残るため、担当交代があっても混乱が起きません。
3. 社員情報の更新が遅れている
人事異動や退職・採用が頻繁にある会社では、名刺情報の更新遅れが最も多いトラブルです。担当者が古いExcelを使って発注したり、前任者の名刺データを流用したりすることで、実際の肩書や部署と食い違うケースが発生します。
特に50人前後の企業は、システム導入にはまだ踏み切れず、手作業で名簿を管理していることが多い規模です。この「人力依存」が誤記や遅延の原因になります。
解決策はシンプルです。「名刺データの最新マスター」を常に1つに保つ仕組みを作ること。具体的には次のような方法があります:
- 社内サーバーまたはクラウド上に最新版データを1本化
- 新入社員・異動者の情報を都度更新(責任者を明確化)
- 印刷業者にも最新版のみ共有するルールを設定
この体制が整うと、誰がいつ発注しても最新データが使用され、誤印刷がなくなります。名刺を「一度きりの印刷物」ではなく「更新し続ける社内データ」と捉える視点が大切です。
4. 名刺発注を“雑務”と捉えている
もう一つの根本的な問題は、「名刺発注=誰でもできる単純作業」と思われていることです。実際には、名刺は社員情報・企業ブランド・顧客接点を統合する大切なアイテム。発注ミスは信用問題にも発展します。
名刺業務を単なる事務作業ではなく「情報管理業務」として位置づけるだけで、社内の意識が大きく変わります。総務担当者がリーダーとなり、印刷会社をパートナーとして活用するのが理想です。
5. 名刺発注を効率化するための具体策
- デザイン・レイアウトを統一して印刷会社に登録
- 社員名簿をExcelで一括管理し、更新ルールを明文化
- 発注履歴を残せるシステム(ポータル)を導入
- 毎年1回、全データを棚卸しして整合性を確認
- 印刷業者に“可変印刷(データ差し替え印刷)”対応を依頼
これらを実施するだけで、名刺発注のトラブルはほぼ解消されます。特に「発注履歴が見える化」されることで、担当交代や複数部門対応が劇的に楽になります。
まとめ:50人規模の名刺は「管理の仕組み」で差がつく
社員数50人前後の企業は、「名刺業務が属人化しやすい」フェーズにあります。この段階で仕組みを整えておかないと、100人を超えたときに手が回らなくなります。印刷の上手い業者を探すより、まずは「運用を理解してくれる業者」を見つけることが先決です。
弊社では、Excel名簿をもとにした一括入稿・校正・納品管理の仕組みをご提案しています。総務担当者が安心して任せられる法人対応体制を整えています。もし社内の名刺管理が煩雑化しているようでしたら、一度ご相談ください。